日本でヨットというと、「三角形の帆を張ったフネ」を想像される方が多いと思われますが、英語の「Yacht」は本来、"競技や遊びのために使われるフネ"、あるいは、"個人所有の大型艇"を指します。エンジンを搭載したボートがモーターヨットと呼ばれることもありますし、超大型のボートはメガヨット、スーパーヨットなどと呼ばれます。つまり、帆のあるなしは関係ありません。
日本でいうヨットにあたるフネは「セールボート(Sailboat)」で、大きさや構造によって大きく三つに分かれます。

セーリングクルーザー

船底に固定式のバラストキール(横流れと転覆を防止するためのオモリを兼ねた板状の構造物)があり、船内に居住用のスペース(船室=キャビン)がある比較的大型のものが「セーリングクルーザー」(以下、クルーザー)です。その大きさも、スタイルも、装備も、使用目的ごとにさまざまですが、共通するのは、外洋を航行できるという点です。

セーリングディンギー

バラストキールの代わりに可動式のセンターボードを備え、船内の居住スペースはなく、概ね1~3人で乗る小型のものが「セーリングディンギー」(以下、ディンギー)です。日本では、その多くがレース用ですが、クルージングを楽しむためのモデルもあります。なお、ディンギーでのセーリングは濡れるのが前提で、沈(チン。転覆)することもあり、フネを起こして再乗艇、再帆走できるという点が、クルーザーとは大きく異なります。

キールボート

セーリングクルーザーとセーリングディンギーの中間に当たる大きさで、キールが備わっており、居住スペースがないか制限されているものを「キールボート」と呼びますが、小型のクルーザーとの境界は曖昧です。