「ボートには乗ってみたいけど、なんだか高そう」。そんなふうに思っている人が多いかもしれません。しかし、日本でボーティングを楽しんでいる方の多くは、決してお金持ちばかりではありません。ここでは、いくつかの事例に分けて、具体的な費用を見てみましょう。

なお、ボートを所有する場合、ボートの購入費用以外に、オプション品や艤装品の購入・取り付け、関連備品の購入などのイニシャルコストのほか、マリーナ費用やメインテナンス費用、保険料、船検費用といったランニングコストが必要になります。
ランニングコストの中でも特に大きな部分を占めるのがマリーナ費用ですが、その額は、地域やその施設の充実度、また、陸置きにするか係留にするのかによって大きく変動します。また、設備の整ったマリーナの場合、初年度のみ、年間の保管料と同額程度の保証料が必要になることもあります。加えて、陸置きではボートを上げ下ろしするたびに料金がかかるか否かが異なるなど、その料金体系は千差万別です。
よって、ここで挙げる金額は、あくまで参考としてご覧ください。

可搬艇を購入する

可搬艇には、トレーラリングやカートップのほかに、膨らまして使用するインフレータブルボートもありますが、その多くが、3~5m程度のサイズで、搭載する船外機(エンジン)も2~30馬力程度の小さなものです。ボートのタイプや運搬方法によっても異なりますが、自宅保管が基本となる上、船外機が小さいぶん燃料代もさほどかからないなど、ランニングコストは低めです。なお、このサイズのボートの場合、釣りを目的とすることがほとんどなので、釣りをしやすくするための装備「艤装(ぎそう)品」や、運搬のためのトレーラー、カーキャリアなどが必要となります。あれこれ自分なりに工夫しながら艤装を施していくのも、可搬艇の楽しさの一つといえるでしょう。

  • 艇体価格:20~200万円程度(新艇の場合)
  • エンジン価格(8馬力):25万円前後

中古の23フィート艇を共同所有する

数人の仲間が集って資金を出し合い、1艇のボートをみんなで使うという「共同所有」という手段もあります。人数が増えれば1人あたりの負担額が減りますが、そのぶん、スケジュール調整が難しくなったり、艤装をするにしても話し合いが必要になったりと、多少の不自由さが出てくるのは致し方ないところ。ですが、まずは手軽にボートを持ちたいという場合には、十分な検討の余地がある選択肢です。
なお、車と同様に、ボートにも中古があります。コンディションの見極めが重要ですが、ボートやエンジンの程度もよく、艤装品も付いているという、お買い得なものが見つかることもあります。

  • 価格:200万円前後(中古23フィートフィッシングボートの場合)
  • マリーナ保管料:年間数万円~50万円程度(地域、施設によりバラツキ大)
  • ボート保険料:年間3万円程度
  • 燃料代:1回につき1万円程度
  • メンテナンス費用:年間10万円程度
  • 船検費用:(3年に1回):約2万円

レンタルボートを利用する

ひと口にレンタルボートといっても、漁港や釣具店などが貸し出している船外機付きの小型和船(漁船)風のものから、船長やクルーが同乗して運航面を担ってくれるチャーター的なものまでさまざまですが、ここでは、日本全国に約140カ所の拠点を持つ「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」の場合を例に見てみましょう。
このシースタイルは会員制で、会員以外の利用はできませんが、一度入会すれば、日本全国の拠点でボートを利用できます。借りられるボートも拠点ごとにさまざまなので、遊びの目的に合わせて使い分けることも可能です。

  • 入会金(初年度のみ):22,000円
  • 月会費:3,300円
  • 利用料:15,000円程度(23フィート艇1日6時間使用の場合。ボートの種類、季節、曜日等によって基本料金が異なる)
  • 燃料代:その日使用した分を当日精算

ガイド船やトーイングサービスを利用する

東京湾、伊勢湾、大阪湾など、都市部近郊のベイエリアでは、主にシーバス(スズキ)やロックフィッシュ(アイナメ、メバルなど)を釣るフィッシングガイド船が営業しています。そうしたガイド船の多くは一般的なプレジャーボートを用いていて、利用者の希望に合わせたプランを提供してくれるので、半日は釣りをして、半日はクルージングを楽しむ、といったことも可能です。利用者がボート免許を持っていなくても手軽にボーティングを楽しめるうえ、キャプテン(船長)は釣りのプロなので、釣りのアドバイスもしてもらえます。
なお、湖や河川など、水面の穏やかなエリアを中心に、ウェイクボードなどを楽しめるトーイングサービスもあります。

  • 料金:3万円前後(1艇あたりの大まかな目安。人数や利用時間、艇種などにより変動。料金設定はサービス提供者ごとに異なる)